奥田龍人氏の第18回ケアマネ試験講評・介護支援分野

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介護新聞(平成27年10月15日)で、恒例のケアマネジャー試験講評が行われています。

奥田龍人氏が第18回ケアマネジャー試験の介護支援分野について書いています。

2015年度も介護保険制度の背景、介護保険制度導入の経過、実施状況は出題されず、制度内容に特化した問題だった。

【問題1】は保健福祉事業。介護保険法115条の49に位置付けられてはいるが、過去問にもなく基本テキスト1巻にも市町村の役割として事業名が記載されているだけの事業が出題された。ただし、選択肢3「日常生活自立支援事業(福祉サービス利用手続きや金銭管理支援)」と、選択肢4「指定地域相談支援事業(障害者の相談支援)」が介護保険制度と違うことに気づけば正答は導き出せる。【問題2】のケアマネの義務は易問。【問題3】の介護老人福祉施設はやや難しい。選択肢5「地域独立行政法人は設置できない」(×)は難しい選択肢だ。基本テキストには「事業主体が、原則として、地方公共団体と社会福祉法人に限定されています」と書いているため、この選択肢は「○」と思われた方もいるのではないだろうか。老人福祉法15条には独立行政法人も位置付けられているが、そこまで勉強しないのではないかと感じた。

【問題4】の一般介護予防事業は新しく位置付けられたため、受験対策でも強調していたが、やはり出題された。【問題5】の総合事業も同様。選択肢4「要介護の第1号被保険者も対象である(○)」はまぎらわしいが、総合事業のうち一般介護予防事業はすべての高齢者が対象である。選択肢5の「第1号生活支援事業と第2号生活支援事業がある(×)は、第2号事業は存在しないが「迷彩」の選択肢である。【問題6】の包括的支援事業、【問題7】の介護サービス情報の公表、【問題8】の国保連は易問。【問題9】の消滅時効は難問。こんな知識まで必要なのかとも思う。基本的に介護保険給付の消滅時効は2年であるが、市町村が過払いした場合のみ公法上の債権となり5年。選択肢4の「償還払い方式の場合の起算日は、利用者が介護サービスの費用を支払った日である」(×)は、基本テキストでは「被保険者がサービス費用を支払った日の翌日」と記載されている。しかし、重箱の隅をつつくような後味が悪い問題である。

【問題10】の市町村が条例で定めるもの、【問題11】の市町村の事務は受験対策でも強調していた。【問題12】の介護保険給付が優先するものは、「○」の選択肢がはっきりしているため易問とも言えるが、選択肢2「証人等の被害についての給付に関する法律による介護給付」(×)は分かりづらく、基本テキストにも掲載されていない。裁判の証人となった人が他人から害を加えられた場合の給付のことであり、国家賠償と同様に介護保険の給付に優先するが、それにしてもこのような選択肢を作るようになったのかとため息が出る。【問題13】の利用者負担は予想通り、2割負担導入が出題された。【問題14】の新しい地域支援事業も予想通り出題された。やはり、新しい仕組みの問題が出題されると感じた。

【問題15】は支払基金の役割で易問。【問題16〜18】は要介護認定。認定調査票と主治医の意見書の内容は昨年同様出題された。いずれも勉強していれば易問。【問題19】はケアマネが求める個別サービス計画、予想通りと言いたいところだが問題は難しかった。選択肢2の訪問入浴介護計画は作成を義務付けられていない。【問題20】の居宅療養管理指導もまぎらわしい問題。選択肢4「利用者に提供した内容を居宅介護支援事業者に報告しなければならない」(×)は、そのような義務はないが、選択肢2にあるように「居宅介護支援事業者の求めに応じ」情報提供を行うこととなっている。
【問題21】の通所介護の人員配置基準も現場の従事者でなければ少し難しい。選択肢4の栄養士(×)を選んだ人も多かったのではないか。【問題22】は、介護予防支援事業だが易問。【問題23】はモニタリング。少しまぎらわしい選択肢が多かった。【問題24】【問題25】は事例問題で、これはやはり易問だった。

第18回ケアマネジャー試験を受験された方の参考になれば幸いです。

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